中国新聞に掲載されました。
「ばら色の合併構想は破綻」旧熊毛町の住民、分離独立運動 周南市
2021/10/14 17:40
熊毛地区の市民センター前で、周南市からの分離独立運動の意義を説明する村上代表(左)と沖田幹事
熊毛地区の市民センター前で、周南市からの分離独立運動の意義を説明する村上代表(左)と沖田幹事
「平成の大合併」で地域が衰退したとして、周南市の一部になった旧山口県熊毛町の住民が、市から分離独立を目指す運動を始めた。合併によって周辺部となった全国の旧町村の住民に連携を呼び掛ける。合併を促した合併特例法とは逆の分立特例法の制定を国会に訴える方針だ。
【地図】旧熊毛町はどこにある
元町議たち4人が「熊毛町を取り戻そう会」を9月に結成した。開設したホームページでは、地方自治法に基づく直接請求で少数派の旧町民が市議会に独立を認めさせるのは「ハードルが高すぎる」と指摘する。旧町民だけで独立に向けた協議会の設置を決められる新たな特例措置を国会に求める。
▽中心部への集中にくすぶる不満…
周南市は2市2町による合併で2003年に誕生した。山口県内で最初の「平成の大合併」だった。市の人口(9月末時点)は13万9896人、うち旧熊毛町は1万4664人。市は国負担7割の合併特例債を活用し、市役所を建て替えた。JR徳山駅ビルも新しくなり中心市街地に集中する「ハコモノ」への不満がくすぶる。
当時から合併に反対していた同会の村上秀夫会長(74)は「新市計画にあった公園整備は実現せず、無料だった公民館の使用料など負担ばかり増えた」と憤る。地域を通るJR岩徳線は減便され、公共事業が柱だった地元の建設業者も減った。「ばら色の合併構想が破綻した今、分離独立を選べるようにしてほしい」と主張する。
全国各地で同じ思いを抱く人たちとネットワークを築き、国会に法整備を働き掛ける運動へ発展させたい考えだ。同会の沖田秀仁幹事(73)は「遠く離れた市役所に住民の声は届かず、ますます地域は不便になっている。住民主体のまちづくりへの願いを結集させたい」と力を込める。(川上裕)